「神の子どもたちはみな踊る」のテーマ
『神の子どもたちはみな踊る』は2000年に単行本として刊行された村上春樹の短編小説で、同名で連作の短編小説集として発売され、その後文庫本化されました。8年後にはアメリカで映画化され、2年後に日本でも公開され、話題になりました。
『神の子どもたちはみな踊る』短編集に登場するのは1995年に発生した阪神淡路大震災と何らかの関連を持った人物たちです。なぜ大震災なのかというと、地震によって一瞬にして日常性が瓦解してしまい、その果てに見えたのが見慣れた風景の脆さであるということだったのでしょう。
文学作品として大震災を描くというのは、目の前から消え去って初めて実感する欠如があまりに大きいからなのかも知れません。オウム真理教による地下鉄サリン事件など数々の暴力とも向かい合いながら、『神の子どもたちはみな踊る』の舞台は次々と展開していきます。
著者自身が言うように、作風を社会へのコミットメントへと舵切りをしたことで、あの時代の精神的な危機を強く感じていたのでしょうか。